「動的ストレッチって一体なに?」
「動的ストレッチってどんな効果があるの?」
動的ストレッチとは、カラダを動かしながらおこなうストレッチを指します。
たとえば、ラジオ体操のような反動を使ったストレッチなどがそうです。
そんな動的ストレッチには、以下のような効果が期待できます。
・運動のパフォーマンスがアップする
・筋ポンプ作用がはたらくため、血液循環がうながされる
・関節の柔軟性がアップする
・筋力を発揮しやすくなる
・ケガの予防につながる
・カラダを温めながらストレッチできる
このように動的ストレッチは、運動面でよい影響を与えることが多いため、主にウォーミングアップで取り入れられています。
ただ、なにかとメリットが多い動的ストレッチですが、おこなうにあたって気をつけなきゃいけないこともあるんです。
そこで今回は、動的ストレッチの特徴や効果、そして注意点について詳しく解説していきます。
さらに、記事の最後では動的ストレッチの具体例を動画や画像で紹介するため、ぜひ参考にしてくださいね。
それではまいりましょう!
1.動的ストレッチとは? まずはストレッチの種類とその特徴を把握しよう

冒頭でもお伝えしましたが、動的ストレッチとは「カラダを動かしながらおこなうストレッチ」です。
動的ストレッチは、関節の柔軟性がアップしたり、筋力を発揮しやすくなるなど、たくさんのメリットがあります。
しかし「じゃあ早速、動的ストレッチをしてみよう!」というのは、ちょっと待ってください。
なぜなら、あなたが得たい効果が「動的ストレッチ」ではなく、そのほかのストレッチにあるかもしれないからです。
ストレッチには動的ストレッチ以外にも複数の種類があり、効果や目的もそれぞれ違います。
そのため、まずはストレッチの種類とそれらの特徴を把握し、いま自分がすべきなのはどのストレッチなのかを知る必要があるんです。
ということで、まずはストレッチの種類とその特徴をみていきましょう。
1-1.動的ストレッチはどんな人にオススメ? それぞれのストレッチの特徴も紹介
ストレッチには、大きく分けて「動的ストレッチ」「静的ストレッチ」「PNF応用ストレッチ」の3種類があります。
さらに動的ストレッチは「ダイナミックストレッチ」と「バリスティックストレッチ」に分けることができます。


以下に、それぞれのストレッチの特徴をまとめました。
「自分が得たい効果は、どのストレッチにあるのかな?」と考えながら、読み進めてみてください。
1.動的ストレッチ
1-1.ダイナミックストレッチ
ゆるめたい筋肉とは反対に位置する筋肉をはたらかせることで、ゆるめたい筋肉をやわらかくするストレッチ。
たとえば、太ももの裏にある筋肉「ハムストリングス」をゆるめたいときは、太ももの筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」をはたらかせます。
運動のパフォーマンスを上げるという報告もあるため、運動をする方には特にオススメです。
1-2.バリスティックストレッチ
反動を使うストレッチ。
たとえば、ラジオ体操やサッカーのブラジル体操などです。
運動のパフォーマンスを上げる効果があるため、運動前にするのがオススメ。
しかし反動を使うため、過度に筋肉が伸びる可能性も。
そのため、ケガに注意をする必要があります。
2.静的ストレッチ(=スタティックストレッチ)
スタティックとは、「静的な・静止」という意味です。
つまり、静止した状態でジワ〜っとおこなうストレッチです。
みなさんに1番なじみがあるストレッチだと思います。
関節の柔軟性アップや肉離れの予防などに効果があります。
3.PNF応用ストレッチ
ヒトには、一定時間じんわりストレッチをすると「筋肉をゆるめろ!」という信号を出す神経機構があります。
さらには、思いっきり筋肉を収縮させたあとに、筋肉がゆるむ仕組みもあるんです。
このような、神経や筋肉の生理学的な作用を生かしたストレッチが「PNF応用ストレッチ」。
基本的に、専門家と一緒におこなうパートナーストレッチです。
ほかのストレッチと同様に、関節の柔軟性アップに効果的。
さらに痛みが生じにくいため、筋肉痛の方に対してもオススメです。
このように、ストレッチの種類によってそれぞれ特徴が異なります。
そのため、自分が求める結果によって、選択するストレッチは変わってくるんですね。
上記でお伝えしたとおり、動的ストレッチの大きな特徴は“運動のパフォーマンスをアップさせる”こと。
なので、動的ストレッチが特にオススメなのは、ウォーミングアップのときなんです。

しかし注意点が1つ。
静的ストレッチを60秒以上すると、筋力が一時的に低下するという報告もあります。
そのため、100m走などの瞬発力を必要とする競技直前は、静的ストレッチを避けておいた方が無難です。
さて、次の章では、動的ストレッチの効果やメリットについて、さらに詳しくお伝えしていきます。
2.動的ストレッチの効果・メリット

冒頭でも触れましたが、動的ストレッチには、主に次のような効果やメリットが期待できます。
・運動のパフォーマンスがアップする
・筋ポンプ作用がはたらくため、血液循環がうながされる
・関節の柔軟性がアップする
・筋力を発揮しやすくなる
・ケガの予防につながる
・カラダを温めながらストレッチできる
何度もお伝えしてきましたが、動的ストレッチは上記のようなメリットや効果があるため、特に運動前におこなうのがオススメなんですね。
ちなみに、もちろん生活のなかで取り入れても大丈夫ですよ(ただし、のちほどお伝えする注意点をご確認くださいね)。
それでは今から、上記で挙げた効果やメリットについて、1つずつ解説していきます。
2-1.運動のパフォーマンスがアップする

動的ストレッチの大きな特徴は、筋力が発揮しやすくなり、運動のパフォーマンスをアップさせる効果が期待できることです。
動的ストレッチはカラダを動かしながらおこなうストレッチなので、筋肉や神経の生理学的な作用がはたらくためです。
特にアスリートは、筋力の発揮の違いで競技の成績が大きく変わることも少なくありません。
そのため、運動のパフォーマンスを高めるといわれている動的ストレッチは、多くのアスリートに取り入れられています。
ちなみに、激しい運動の前だけでなく、ランニングやウォーキングなどの軽い運動をする前におこなっても大丈夫ですよ。
このように動的ストレッチは、運動をする方にとって“基本的に”どなたでもオススメできるストレッチなんです。

なぜなら、ヒトによっては、まずは静的ストレッチを取り入れた方がいい場合もあるからです。
というのも、動的ストレッチはカラダの動きを伴うため、運動不足の方やご高齢の方がいきなりおこなうと、ケガをする可能性があります。
そのため、まずは安全性の高い静的ストレッチをした方がよいケースもあるんですね。
この話しについては、次の章でも触れますのでぜひご覧ください。
2-2.筋ポンプ作用がはたらくため、血液の循環がうながされる

動的ストレッチは、カラダを動かしながらおこなうため筋肉が収縮します。
筋肉が収縮すると、「筋ポンプ作用」がはたらき、血液の循環がうながされます。
ちなみに筋ポンプ作用とは、筋肉を収縮させることで、血液を重力に逆らって心臓まで押し上げる作用をいいます。
たとえば、ふくらはぎの筋ポンプ作用は以下のとおりです。
このように、筋肉をはたらかせると、血液の循環がよくなるんですね。
さらにいうと、血液の循環がよくなることで「酸素」や「栄養素」がたくさん筋肉へ流れていき、それらを材料として筋肉を動かすために必要な“エネルギー”をいっぱい作ることができます。
2-3.関節の柔軟性がアップする

動的ストレッチは、ほかのストレッチと同様に、関節の柔軟性をアップさせる効果があります。
さらには、複数の筋肉を同時にストレッチできるというメリットもあるんです。
筋肉は単独でついているように見えますが、実は筋膜を介して線路のようにつながっています。
なので、1つの筋肉だけをストレッチをしても、そのほかの筋肉が硬いと、すぐに元に戻ってしまうこともあるんです。
そのため、全身の柔軟性がとても重要なんですね。
その点、動的ストレッチは複数の筋肉にアプローチできるため、全身の柔軟性アップが期待できます。
2-4.ケガの予防につながる

動的ストレッチは、スポーツの実践向けのストレッチであり、ケガの予防にもつながります。
その理由を、サッカーを例として説明しますね。
サッカーは、ダッシュやジャンプ、ボールを蹴ったりするなど、複合的な動きをします。
そのとき筋肉は、急激に縮んだり、ゆるんだりするなど、大きな負担がかかっています。
もしウォーミングアップの際に、実際のサッカーの場面と同じような刺激を筋肉に与えておかないと、いざ試合中に思いもよらない負担が筋肉にかかったら、肉離れなどのケガにつながることもあるんです。
動的ストレッチは、カラダを動かしながらおこなうため、スポーツの実践に近いストレッチともいえます。
そのため、ケガの予防にも効果的なんですね。
2-5.カラダを温めながらストレッチできる

何度もお伝えしてきましたが、動的ストレッチはカラダを動かしながらストレッチをします。
そうすると体内で熱が発生し、筋温や体温が高まりやすくなります。

一方、静的ストレッチは止まった状態で筋肉を伸ばすため、体温はなかなか高まりません。
なので、やはり運動前は静的ストレッチだけでなく、動的ストレッチも取り入れていった方がいいんですね。
このように、動的ストレッチはメリットが多いのですが、おこなう際には注意をすべきこともあります。
そのため次の章では、動的ストレッチの注意点をお伝えしていきますね。
3.動的ストレッチの注意点

動的ストレッチは、先ほどもご紹介したとおり、さまざまな効果やメリットがあります。
しかし、反動を使うストレッチなので、止まっておこなう静的ストレッチよりも筋肉に負担をかける可能性も。
そのため、特に筋肉のケガに注意が必要です。
この章では、さらにいくつかの動的ストレッチの注意点をお伝えしていきます。
ケガなく安全に動的ストレッチをするためにも、必ず確認してくださいね。
3-1.反動を使うため、筋肉のケガには気をつける|運動不足の方・ご高齢の方は特に注意!

先ほど、動的ストレッチは「ケガの予防につながる」とお伝えしました。
しかし、いきなり大きな反動を使った動的ストレッチをすると、筋肉が限界を超えて伸ばされ、ケガをすることがあります。
ケガを予防するために動的ストレッチをしたのに、ケガをするなんて本末転倒ですよね。
なので、動的ストレッチをはじめてする方は、まずはゆっくりとおこなってください。
もし動的ストレッチが心配な方は、反動をつけずにじんわりと筋肉を伸ばす「静的ストレッチ」を取り入れていただければと思います。

3-2.強い痛みのある筋肉には無理におこなわない

動的ストレッチは反動を使うため、筋肉の緊張を高めることがあります。
この作用によって、筋肉が発揮しやすくなり、運動のパフォーマンスを上げるなどの良い影響を得ることができます。
しかし、注意すべきケースもあります。
それは筋肉に強い痛みがあるとき。
というのも、筋肉に強い痛みがあるときは、ギューっと筋肉がこわばっている状態です。
そんなときに、筋肉の緊張を高める動的ストレッチをすると、さらに筋肉にチカラが入ってしまうことがあるんです。
筋肉がこわばった状態がつづくと、血流が悪くなったり、さらに痛みが強くなったりすることも…
なので動的ストレッチは、筋肉に強い痛みのあるときは避けておいた方が無難です。
もしくは、まずは静的ストレッチやジョギングなどをし、筋肉の緊張をゆるめてから動的ストレッチを取り入れてみるのもひとつの手です。
3-3.ストレッチ中は呼吸を止めない

動的ストレッチに限らず、ストレッチをするときは呼吸をしましょう。
呼吸を止めてストレッチをすると、血圧が高くなる可能性があります。
なので、呼吸をして余分なチカラを抜きながら、動的ストレッチをおこなってくださいね。
ぜひ、上記でお伝えした内容を念頭において、安全に動的ストレッチをしていただければと思います。
最後に、動的ストレッチの具体例を動画と画像で紹介していきます。
4.動的ストレッチの具体例|動画と画像で紹介

ここまで動的ストレッチの効果や注意点について解説してきました。
しかし「実際はどうやってやるの?」とイメージが湧きにくい方もいるかもしれません。
そのため最後に、動的ストレッチの具体例を動画と画像でご紹介しますね。

なので今回は、別の記事で紹介している「ランニング前にオススメの動的ストレッチ」の一部をお見せします。
4-1.腸腰筋(ちょうようきん)の動的ストレッチ

※2:左右1セットずつおこないます
4-2.胸郭(きょうかく)の動的ストレッチ

※1:左右連続でカラダを回します
※2:2セットおこないます
4-3.ふくらはぎの動的ストレッチ

※2:左右1セットずつおこないます
動的ストレッチのイメージはつきましたでしょうか?
ちなみに、今ご紹介したストレッチの完全版は以下の記事になります。
「ランニング前にオススメの動的ストレッチを知りたい!」という方は、ぜひ参考にしてください。
5.まとめ
動的ストレッチの理解を深めることはできましたでしょうか?
スポーツのパフォーマンスをアップさせたり、ケガを予防したりと「たくさんのメリットがあるんだな!」と感じることができたと思います。
しかし動的ストレッチは、カラダを動かしながら筋肉を伸ばすため、勢いよくおこなうと筋肉のケガを引き起こすリスクがあります。
そのため、まずは小さな動きから始め、少しずつカラダの動かす範囲を広げていくことが大切です。
特に、運動不足の方が動的ストレッチをする際はご注意くださいね。
また、高齢の方は、動的ストレッチではなく、反動をつけない静的ストレッチから取り入れた方が安全です。
ぜひ、ケガなく安全に動的ストレッチをおこなっていただければと思います。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。