「全国各地にいる、素敵なセラピストの存在や魅力を知ってもらいたい!」

このような想いから生まれたのが、本企画『あなたの町の素敵なセラピスト』。

あなたの町の素敵なセラピスト

予防コネクト編集部がこれまで出会ってきた「技術」「人柄」「想い」3拍子そろった素敵なセラピストをインタビューし、魅力に迫っていく企画です。

第1回は、茨城県つくば市で女性専用の整体サロンを営む、PALM(パルマ)代表・丹羽麻奈美(にわ・まなみ)さんにお話を伺いました。

丹羽さんは、産前・産後のトラブルなど、おもに女性特有の悩みを抱えている方々と日々向き合っています。

そんな丹羽さんが、施術をするときに大切にしていることは何なのでしょうか?
さらに、今後どのようなビジョンを描いているのかなど、いまの想いをお聞きしました。

今回の素敵なセラピスト

丹羽 麻奈美(にわ・まなみ)さん

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つくば市 女性のための整体サロンPALM(パルマ)代表理学療法士の資格を取得後、つくば市の総合病院に就職。「女性の理学療法士は切迫流産が多い」と知ったことがきっかけで妊娠・出産の分野に興味を持つ。しかし友人が切迫流産になったときに何もできなかった苦い経験から「もっと深く勉強して多くの女性の力になりたい」と決意を新たにする。その後、産後ケアの資格を取得するなど日々研鑽を積む。病院を退職後は、2016年につくば市にて女性専用の整体サロン「PALM」をオープン。

女性特有のトラブルに対応した整体サロン「PALM(パルマ)」

女性特有のトラブルに対応した整体サロン「PALM(パルマ)」

――現在、丹羽さんは「整体サロン PALM(パルマ)」でどのようなサービスをおこなっているのですか?

丹羽さん
「PALM CARE(パルマケア)」という、女性特有のトラブルと向き合う施術をおこなっています。

ほかには、赤ちゃんと一緒にヨガを楽しむ「赤ちゃんヨガ」や、妊婦さんのための「マタニティヨガ」、そしてJOURNALさんというカフェで「ランチヨガ」や「キャンドルナイトヨガ」(編集註:後述)も開催しています。


――女性のあらゆるニーズや悩みに対応している整体サロンですね。どのような悩みをお持ちの方がよく通われているのですか?

丹羽さん
出産して間もない方で、特に腰痛を訴えているケースが多いです。

さらに最近は、妊婦さんも増えています。恥骨(ちこつ)や仙腸関節(せんちょうかんせつ)という骨盤まわりの関節や骨に痛みが出て「寝返ることができないです…」と悩んでいる方もいらっしゃいます。

そのほかには、頭痛や自律神経失調症など、女性が訴えやすい症状の方がとても多いですね。

あとは託児サービスがあるので、小さなお子さん連れの方もよく来院されます。


――託児サービスがあるのは、小さなお子さんを持つお母さんは助かりますよね。

丹羽さん
小さなお子さんを連れて整体にいくとなると「迷惑をかけないかな」「危ないことをしないかな」などが気になって、落ち着いて施術を受けることができませんからね。

PALMは完全予約制のプライベートサロンなので、お子さんが走り回ったり大声を出しても大丈夫なのでご安心ください(笑)。

ちなみに、託児サービスを利用される方は、子どもを祖父母にあずけられず、しかも旦那さんも仕事で忙しい、というパターンが多いです。

もちろん、それ以外の場合でも託児サービスは受けられるため、ぜひお気軽に活用してもらえたらと思います。

触れ方ひとつで「信頼関係」や「施術効果」が変わる

触れ方ひとつで施術効果や信頼関係が変わる

――店名に「PALM(パルマ)」とありますが、どのような意味が込められているのですか?

丹羽さん
PALMとは「手のひら」を意味しています。施術するにあたり、手のひらでの “触れ方” を大切にしていることが由来です。

さらに、わたしの施術を受けることでお客さんがより健康になり、お客さん自身が温かい手のひらで大切な人たちを幸せにできるようになってほしい。

そんな願いを込めて「PALM」と名付けました。


――なぜ触れ方を大切にされているのですか?

丹羽さん
触れ方ひとつでお客さんとの信頼関係だったり、施術効果が変わってくるからです。

たとえば、はじめて来院したのに、なんの説明もなくいきなりガシガシ触られたら「何されるんだろう…」と不安になり、カラダは無意識に緊張すると思います。

そうすると関節や筋肉などがゆるまないため、施術の効果も出にくいんですね。

さらには「こんな乱暴な触り方をする人に、自分のカラダをあずけたくない」と感じ、信頼関係が崩れてしまうかもしれません。

ですので、お客さんが安心できる触れ方を意識して、施術を進めるようにしています。


――お客さんに触れるときは、具体的にどのようなことに気をつけていますか?

丹羽さん
そもそもですが、お客さんに触れる前段階の “問診” を大切にしています。

問診は、カラダの状態を把握して施術方針を決めるという目的もありますが、わたしはそれ以上にお客さんの悩みに寄り添いたいという気持ちがあるんですよね。

PALMに来られるお客さんは、尿もれや生理痛、妊娠中のトラブルなど、周りの人には言いづらい深い悩みをお持ちになっている方が少なくありません。

なかには「ずっと誰にも打ち明けれなかったんです…」という方もいらっしゃいます。

深い悩みがあって来院しているのに、全然話を聞いてくれなかったらツライですよね。

ですのでわたしは、触れる前段階の問診で、しっかりとお客さんの話を聞くことを大切にしているんです。

問診
まずは問診でお客さんの悩みに寄り添うことを大切にしている

――悩みに寄り添ってくれると安心できますよね。問診のあとは何をおこなうのですか?

丹羽さん
問診のあとは実際にカラダを触らせていただき、不調の元となっている部分をさらに突き止めていきます。

よくあるケースで、痛みの根本原因は、痛みが出ている部分ではなく別の場所だったりするんですよ。首が痛いけど、本当の原因は首以外の部分にあった、など。

たとえば、産後の方でよくある事例なのですが、いつも決まった向きで赤ちゃんを抱っこしたり授乳したりすることで、背骨や肋骨などがズレてしまい、それが首の痛みにつながっていることもあるんです。

そのため、施術で背骨や肋骨などの位置を修正することで、首の痛みが緩和される方もいらっしゃいます。

このように、悪さをしている本当の部分を見つけるためにも、実際に触れさせてもらってカラダの評価をしていきます。

そして、不調の根本原因が見つかったら施術に入ります。

先ほども言いましたが、カラダが余計な緊張をしないよう、施術でカラダを触れるときも十分気をつけます。

やさしく触れるのはもちろん「どこを触れるのか」「なぜ触れる必要があるのか?」などもしっかりとお伝えし、同意を得た上で施術を進めていきます。

体の流れが滞っているところや、動きにくくなっている部分に対し、手のひらを使って、カラダ本来の動きを取り戻せるように動きを誘導していきます。

理学療法士になって多くの人を救いたい

理学療法士になって多くの人を救いたい

――どうして丹羽さんはセラピストを目指そうと思ったのですか?

丹羽さん
きっかけは高校時代までさかのぼります。高校時代はバスケに情熱を注いでいたのですが、最後の大会近くにアキレス腱を切るという大きなケガをしたんです。

そして、病院での治療と同時に、理学療法士の先生からリハビリを受けることになりました。そのおかげで最後の大会にも無事出場でき、しかも高校3年間で一番カラダが動いたんです。

理学療法士の先生には、ケガからの競技復帰はもちろん、心までも救ってもらいました。

この経験がきっかけで「将来わたしも理学療法士になって多くの人を救いたい!」と心に決めたんです。

恩師との出会いが、セラピストとしての核を作った

恩師との出会いが、施術家としての核となる部分を作った

――理学療法士を目指す過程で、なぜ触れ方や問診を重要視するようになったのですか?

丹羽さん
1人の恩師との出会いによって、触れ方や問診の大切さを知ることになりました。

高校のバスケ部を引退したあと、さっそく理学療法士の資格が取れる茨城県のとある大学へ見学に行きました。そのとき、のちに恩師となる先生に大学を案内してもらったのですが、帰り際その先生に「握手をしましょう」と言われたんです。

特に何も気にせず握手をしたのですが「ダメだその触り方じゃ!」と注意されたんです。なにも知らない高校生相手にですよ?(笑)

そうしたらその先生は「理学療法士は、握手ひとつでも相手に信頼感を与えられるか与えられないか、そんな職業なんだよ」と話してくれました。

そのとき「すごくかっこいい先生だな」と思ったんです。そして、見学に行った大学に入学することに決めました。

入学後は、大学を案内してくれた先生の研究室に入り、触り方の研究もおこないました。


――触り方の研究とは、一体どんなことをしたのですか?

丹羽さん
腕や脚、体幹などを触れ、心拍数や心電図がどのように変化するのかを調べました。

この研究でわかったことは、“触れることだけが、心拍数や心電図を変化させる要素ではない”ということです。


――触れる以外だと、どのような要素が結果に影響を与えていたのですか?

丹羽さん
たとえば、触れる側と、触れられる側との信頼関係。さらには、異性でも感じ方が変わると思います。当然といえば当然のことかもしれませんね。

しかしこの研究を通して、カラダを触れる以前に、セラピストと施術を受ける方との関係性が重要だということを学べました。

その良い関係性を作るための第一歩が、やはり “問診” だと思ったんですね。

このような経験や恩師との出会いがあって、「触れ方や問診を大切にしていこう」と心に決めました。

わたしのセラピストとしての核となる部分は、大学時代に育まれたものだと思います。

そして大学を卒業し、理学療法士として総合病院に勤務してからも、触れ方や問診はとくに気をつけて臨床をおこなっていました。


――その後、なぜ理学療法士としての勤務をやめて、いまの整体サロンを立ち上げたのですか?

丹羽さん
わたしの実家は自営業だったこともあり、自分で仕事の時間や量を決められる自由なはたらき方に憧れを抱き続けていました。

わたしが子どもの頃は、お父さんが平日に遊びに連れていってくれたり、毎日家族全員で食卓を囲むのも当たり前だったりしたので「自分の子どもにも同じようにしてあげたい」と思ったんですね。

そのような想いから、理学療法士としての勤務をやめ、自宅で整体サロンをはじめました。

自分自身でカラダをメンテナンスできるようになってほしい

自分自身でカラダをメンテナンスできるようになってほしい

――触れ方や問診をとても大切にしていますが、そのほかに施術で大切にしていることはありますか?

丹羽さん
お客さんの症状やカラダにピッタリ合った “自主トレーニング” の方法をお伝えすることです。

わたしは「自分自身でカラダのメンテナンスができるようになってほしい」という気持ちを強く持っているんですね。

ですので、お客さんが自分自身で健康を保てるように、自主トレーニングの大切さとその方法をしっかりとお伝えするようにしています。


――自分でカラダのメンテナンスができることはすばらしいことですよね。具体的にどのような自主トレーニングをお伝えするのですか?

丹羽さん
人や症状にもよりますが、ヨガをお伝えすることが多いです。


――どうしてヨガをお伝えしているのですか?

丹羽さん
ヨガは自分で変化を感じやすいからです。自分で動いて「痛みが取れた!」とか「スッキリした!」などの変化が分かるってすごくステキではありませんか?

私が触れなくても自分で変化を出せるということはとてもいいなと思ってて。

あとはいま、ヨガが好きな女性が多いので「ヨガのポーズですよ」っていうと喜んでやってくれる方が結構いらっしゃるんです。

みなさんも経験があるかもしれませんが、自分ひとりじゃなかなか自主トレって続かないじゃないですか。

やはり、ひとりで定期的にエクササイズをするためには、モチベーションが必要だと思っています。ヨガはカラダにも良い効果があるんですが、加えてやる気が出やすいという側面もあるので、自主トレが継続しやすいんですよね。


――なるほど。いくら良い自主トレでも「やってみたい」という気持ちにならないと意味がないですもんね。

丹羽さん
そうですね。ですので、お客さんに自主トレーニングをおこなっていただくために、色々と工夫しています。


――なかには「やっぱり自分ひとりでカラダをケアするのもむずかしい…」という方もいると思いますのが、そのときはどうするのですか?

丹羽さん
その場合は、つくば市にあるJOURNALカフェさんでおこなっている「ランチヨガ」や「キャンドルナイトヨガ」をオススメしています。

これらはヨガとお食事がセットになった人気のコースで、毎月定期的に開催しています。

JOURNALカフェで行なっているグループヨガ
「JOURNALカフェ」さんで開催しているランチヨガ。芝生の庭でおこなうヨガは解放感に満ちあふれており、日ごろの疲れを癒してくれる

ヨガはグループレッスンなので、参加者同士が仲良くなりやすく、お話を楽しんだり、日ごろ抱えている悩みを共有できたりもします。

ちなみに、ヨガのあとのお食事は、自家栽培の食材で作られたカラダにやさしいメニューなので最高ですよ!

わたしの手のひらから幸せの輪を広げていきたい

わたしの手のひらから幸せの輪を広げていきたい

――最後に、今後のビジョンについて教えてください

丹羽さん
昔よりも、カラダが弱い小学生が増えてきた印象があります。PALMにも、腰痛や肩こり、かぜじゃないけど頭痛がひどい…などの症状を訴えるお子さんがよく相談にきます。

ですので、いまはおもに大人の女性を施術していますが、今後は子どもの健康づくりにも取り組んでいけたらと思っています。

PALMをオープンしてから4年経ちますが、赤ちゃんヨガに来てくれていた子が、いまや4歳5歳と大きくなってきたんですよ。

今後その子たちが成長していく過程で、「カラダが痛い」「カラダが弱くて困っている」などのSOSを出していたら、かかりつけ医のように、いつでも身近に対応できる存在でありたいです。

そしてゆくゆくは、地域に住んでいる幅広い世代の方々の健康を、もっとサポートしていきたいとも考えています。

実はいま、そのひとつの取り組みとして、取手市の高源寺で「みんなの寺ヨガ」というイベントを不定期で開催しています。

「みんなの寺ヨガ」では、名前の通りお寺でヨガをすることで、自分自身のカラダと向き合ってもらっています。

小さなお子さんからシニアの方まで、幅広い世代の方々が集まるため、地域の温かいつながりも感じることができますよ。

みんなの寺ヨガ
「みんなの寺ヨガ」の様子。お寺独特のおごそかな雰囲気でおこなうヨガは、自分の心とカラダを見つめ直すきっかけにもなる
みんなの寺ヨガ
だれよりも熱心な、かわいい参加者さん

わたしはいま、本当に地域のみなさんに支えられていると感じています。

ですのでわたしは、カラダの専門家としてみなさんに還元していきたいと思います。

そしてこれからも、手のひらの温かさを大切にした施術で、カラダのトラブルに悩んでいるお客さんを幸せにしていきたいです。

さらには、お客さん自身が温かい手のひらで、大切な人たちを幸せにしてほしい。

そんな幸せの輪を広げるきっかけを、わたしの手のひらからたくさん増やしていきたいです。

丹羽 麻奈美さんプロフィール

つくば市 女性のための整体サロンPALM(パルマ)代表

理学療法士の資格を取得後、つくば市の総合病院に就職。入社1年目に取り組んだ研究で「女性の理学療法士は切迫流産が多い」という事実を知ったことがきっかけで妊娠・出産の分野に興味を持つ。

しかし友人が切迫流産になったとき、何もできなかった苦い経験から「もっと深く勉強して多くの女性の力になりたい」と決意を新たにする。その後「マタニティヨガインストラクター」や、産後ケアの資格である「ガスケアプローチ」を取得するなど日々研鑽を積む。

病院を退職後は、2016年につくば市にて女性専用の整体サロン「PALM」をオープン。「手のひらの温かさで女性たちのHappyをサポートする」という理念のもと、妊娠期や出産後のトラブルなど、女性特有の悩みで困っている方に全力で向き合っている。

理学療法として医療機関での勤務経験を活かし、医学的な視点からの施術やヨガレッスンを展開することが特徴。

その他、医療従事者向けに、妊娠前の身体作りや産後ケアについてのセミナーを全国各地で開催している。