「ピンク筋を増やすスクワットってどうやればいいの?」
「ピンク筋って、本当にダイエット効果があるの?」
「そもそもピンク筋ってなに?」

このようにお思いではありませんか?

『世界一受けたい授業』で紹介された、ピンク筋ダイエット。
ピンク筋を増やすことで、ダイエットにも効果があるとのことですが、一体どうなのでしょうか?

この記事では、医学書にもとづいて、ピンク筋について詳しくお伝えしていきます。
それではまいりましょう!

1.ピンク筋を増やすスクワットのやり方

ピンク筋を鍛えるスクワットのやり方

番組内で「ピンク筋を増やす」といわれていたスクワットのやり方は、『世界一受けたい授業』の公式サイトに載っています(R1.5.26現在)。

世界一受けたい授業 【公式サイト】
http://www.ntv.co.jp/sekaju/onair/190316/03.html

もし「画像だけじゃ分かりにくい!」という方は、YouTubeで「ピンク筋」と検索すると、実践している方がいるので参考になると思います。

それではいまから、ピンク筋についてさらに掘り下げていきます!
ピンク筋の理解を深めたい方は、ぜひ読み進めてください。

2.ピンク筋は「収縮スピード」と「持久力」をかねそろえた万能な筋肉

ピンク筋とは? 収縮スピードと持久力をかねそろえた万能な筋肉

「そもそもピンク筋って一体何?」とお思いの方もいると思います。
カンタンにいうと、ピンク筋とは、筋肉の収縮スピードと持久力、両方をかねそろえた万能な筋肉です。

ただ、これだけではよく分からないですよね。
これからさらに詳しくピンク筋について解説していきます。

2-1.ピンク筋の正体は、速筋線維のタイプIIa

ピンク筋を深く知るために、まずは筋線維の全体像からみていきましょう。

筋線維には、大きく分けて以下の2種類があります。

・遅筋線維(ちきんせんい)
・速筋線維(そっきんせんい)

遅筋線維と速筋線維の特徴は、以下のとおりです。

遅筋線維(ちきんせんい)
ゆっくりと収縮する筋肉。持久力に優れています。
・赤い色をしているため、別名「赤筋(せっきん)」ともいいます。
・脊柱起立筋やヒラメ筋など、主に姿勢を保つ筋肉に多くあります。
・魚でいうと、マグロやカツオなどは赤筋の割合が多いです。

速筋線維(そっきんせんい)
すばやく収縮する筋肉。スピードに優れています。
・白っぽい色をしているため、別名「白筋(はっきん)」ともいいます。
・上腕三頭筋や腓腹筋など、主に運動筋に多くあります。
・魚でいうと、ブリやヒラメ、タイなどは白筋の割合が多いです。

そしてさらに、遅筋線維と速筋線維は、以下の3つのタイプに分類できます。

・遅筋線維(ゆっくり収縮する筋肉)→タイプI
・速筋線維(すばやく収縮する筋肉)→タイプIIa・タイプIIx
タ、タイプI…?
いまいちピンと来ないです…
そうですよね。
さらに詳しく説明しようとすると専門的すぎるので、「ああ、3 種類に分かれるんだな」くらいの理解で大丈夫です。

そして、この3つのタイプの筋肉は、それぞれ色や筋肉の収縮スピードなどが違うんです。
以下の表に、これらの筋肉の特徴をまとめました。

速筋と遅筋の比較表

このように、ピンク筋の正体は、速筋線維のタイプIIaです。
冒頭でもお話ししましたが、タイプIIa(ピンク筋)は、収縮スピードと持久力をかねそろえた、万能な筋肉なんです。

すごい筋肉ですね…!

2-2.ピンク筋を鍛えると、ダイエット効果はあるの?

ピンク筋を鍛えると、ダイエット効果はあるの?

『世界一受けたい授業』の公式サイトにも書かれてあるように、ピンク筋に含まれているタンパク質は、睡眠中にも脂肪や糖を熱に変えてくれるといわれています。
そのため、ピンク筋を鍛えることで、ダイエット効果が期待できるかもしれません。

しかし「より体重を落としたい!」という方は、さらに有酸素運動もあわせておこなうと効果的です。

デューク大学のWillisらの研究に、ダイエットに関する興味深い報告があります。
体重を落とすためには、筋トレだけよりも、有酸素運動のみ、もしくは有酸素運動と筋トレを組み合わせたときの方が、体重と体脂肪率が減ったとの結果が出ています。

なので、「体重や体脂肪を効率的に落としたい!」という方は、筋トレとあわせて有酸素運動も取り入れてみてはいかがでしょうか?

ちなみに、有酸素運動は10分以上おこなうことをオススメします。
なぜなら、運動の最初の方は「糖質」の代謝がメインですが、10分を超えたあたりから「脂質」の代謝が活発になるからです。

有酸素運動の負荷量については、「最大心拍数の60%」が目安になります。
最大心拍数の求め方は「207-(年齢×0.7)」。

たとえば、40歳の方だったら「207-(40×0.7) =179回/分(最大心拍数)」。
そして、179回/分(最大心拍数)の60%が有酸素運動に適した負荷量なので、「179×0.6=107回/分」となります。

つまり、40歳の方が有酸素運動をする場合、1分間の脈拍が「107回くらい」の負荷量が目安になるということです。

もし計算が面倒な方は、「楽だな」「ちょっとだけキツイかな」くらいの負荷量でも大丈夫ですよ。
人と会話しながら走れるくらいがちょうどいいです。

コラム:なんでピンク色なの?

ピンク色の理由

いまからお伝えする内容は、専門的な言葉も出てきますし、ちょっとむずかしいと思います。
なので、「ピンク筋は『ミオグロビン』っていうタンパク質がほどほど入っているから、ピンク色なんだな」ということだけ、知っておいてください。

さて、先ほど、筋線維は赤色、白色、そしてピンク色に分かれるといいました。

筋線維の色

なぜ筋線維によって色が分かれるのでしょうか?
それは、それぞれの筋肉に含まれている「ミオグロビン」の量が関係しています。

ミオグロビンとは、筋肉のなかに含まれているタンパク質です。
ミオグロビンの役割は、赤血球の「ヘモグロビン」が運んできた酸素を受けとり、筋肉のなかで貯めたり「ミトコンドリア」へ運んだりすること。
そしてミオグロビンは、赤色である鉄分を含んでいます。

そのため、ミオグロビンを多く含んでいる赤筋(せっきん)は、赤くみえるんですね。

さて、先ほど「ミトコンドリア」という名前が出てきました。
ミトコンドリアとは、筋肉のエネルギーを作り出す「源」のような存在。

赤筋には、ミオグロビンだけでなく、ミトコンドリアも多く含まれています。
そしてミトコンドリアには、赤い「シトクロム」というタンパク質もあるため、遅筋線維は余計に赤くみえるんですね。

一方、白筋(はっきん)のタイプIIxは、ミオグロビンやミトコンドリアの量が赤筋より少ないため、白っぽくみえます。
そして白筋のタイプIIaであるピンク筋は、ミオグロビンが「ほどほど」含まれているため、ピンク色にみえるというわけです。

3.まとめ

今回は、ピンク筋の知識や鍛え方をお伝えしていきました。

ピンク筋は、筋肉の収縮スピードと持久力を持ち合わせた、オールマイティーな筋肉です。
有酸素運動や筋トレを組み合わせた持久トレーニングで鍛えることができるため、ぜひ取り組まれてみてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

・Leslie H. Willis,Cris A. Slentz,et al. Effects of aerobic and/or resistance training on body mass and fat mass in overweight or obese adults. J Appl Physiol.2012 Dec15; 113(12): 1831–1837.
・竹井仁(監):ビジュアル版 筋肉と関節のしくみがわかる事典.西東社,2013.
・石井直方(監),荒川裕志(著):プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典,ナツメ社,2012.