ケガの予防や、運動のパフォーマンスアップに効果的な「動的ストレッチ」

動的ストレッチとは、カラダを動かしながらおこなうストレッチを指します。

動的ストレッチは、ケガの予防はもちろん、走るときの推進力を高めたり、呼吸がしやすくなるなどの効果が期待できます。

そのため、動的ストレッチをランニング前に取り入れることは、とてもオススメなんですよ^^

とはいえ「具体的にどんなメニューをすればいいの?」と思うかもしれません。

そこで今回は、理学療法士兼トレーナーである梅田先生の監修のもと、ランニング前にオススメの動的ストレッチをご紹介します!

ぜひ参考にしていただき「いつもより快適にランニングを楽しめた!」という方がたくさん増えるとうれしいです。

それではまいりましょう!

この記事を監修いただいたセラピスト

梅田 卓也(うめだ・たくや) 先生

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コレクトボディーケア 代表/理学療法士/フットサルトレーナー大学卒業後、理学療法士として総合病院に勤務。整形外科への転職と同時に、フットサルクラブチームでのトレーナー活動をスタート。 さらに現在は、自費整体とパーソナルトレーニングもおこなっている。 慢性痛に対しての施術とトレーニング、サッカー・フットサル選手のパフォーマンスアップ、ケガからの復帰、ケガ予防のトレーニングに力をいれている。

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なぜ、ランニング前は動的ストレッチがオススメなの?

なぜランニング前は動的ストレッチがオススメなの?

そもそも、なぜランニング前に動的ストレッチがオススメなのかをご存知ですか?

冒頭でもお伝えしましたが、動的ストレッチはケガを予防したり、運動のパフォーマンスをアップさせたりするからです。

そのほかにも、動的ストレッチには以下のようなメリットがあります。

動的ストレッチのメリット

・筋ポンプ作用がはたらくため、血液の循環がうながされる

・関節の柔軟性がアップする

・カラダを温めながらストレッチできる

このようなメリットから、動的ストレッチはランニング前だけに限らず、ほとんどのスポーツにおいて取り入れた方がいいストレッチともいえます。

ちなみに、以下の記事の2章では、さらに詳しく動的ストレッチのメリットを解説しています。
ぜひ参考にしてください。


それではお次は、今回のテーマである「ランニング前にオススメする動的ストレッチ」をご紹介していきます!

ランニング前にオススメする動的ストレッチ6選!

この章では、ランニング前にオススメする動的ストレッチを6つ紹介していきます。

しかしその前に、安全に動的ストレッチをおこなっていただくために、注意点をお伝えしますね。

動的ストレッチを始める前に必ずお読みください

エクササイズをおこなうにあたっての注意点

今からご紹介するのは健常者向けの動的ストレッチです。

脊椎や股関節の疾患がある方や、体調が優れない方などが以下のストレッチやエクササイズをおこなうと、重大な事故につながる可能性があります。

さらには、反動を使うストレッチなので、運動不足の方やご高齢の方がいきなりおこなうと、筋肉のケガをする危険性もあります。

そのため、ストレッチやエクササイズをする際は事故に十分に注意をしつつ、自己責任でおこなってください。

動的ストレッチの注意点

・既往歴や現病歴がある方は、医師や理学療法士などの専門職に確認の上、おこなうようにしてください

・静脈瘤や心臓に疾患がある方は、医師に相談したうえで検討してください


・体調が優れない方、高血圧もしくは低血圧の方はおこなわないでください


・少しでも痛みやしびれが出たらすぐに中止してください


・運動不足の方やご高齢の方は、特にケガにはご注意ください

・反動を使うストレッチなので、いきなりおこなうと筋肉のケガをする可能性があります。まずは少ない回数と弱い強さで、ゆっくりとおこなってください


上記の注意点を確認し、ケガなく安全に動的ストレッチをおこなっていただけますと幸いです。

それではお待たせしました。
今からランニング前にオススメする動的ストレッチを紹介していきます!

今回お伝えする動的ストレッチは、以下の6種目です。
1から順におこなうことをオススメします。

今回ご紹介する動的ストレッチ

1.ハムストリングスの動的ストレッチ

2.腸腰筋(ちょうようきん)の動的ストレッチ


3.大殿筋(だいでんきん)の動的ストレッチ


4.広背筋(こうはいきん)の動的ストレッチ


5.胸郭(きょうかく)の動的ストレッチ


6.ふくらはぎの動的ストレッチ

動的ストレッチを正しい方法でおこなうために、まずは【スタートポジション】を作ってから【ストレッチを開始】してください。

1.ハムストリングスの動的ストレッチ

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※音は出ません

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ハムストリングスの動的ストレッチ
※1:上の図は右脚のハムストリングスにアプローチしています
※2:左右1セットずつおこないます

方法

1
スタートポジションを作る

① 立った状態で左脚をうしろに出し、左ひざを曲げ左のかかとは少し浮かせる
② 右ひざは、ほんの少しだけ曲げた状態にする
③ その状態のまま、カラダを少し前にかたむける

2
ストレッチを開始する

① スタートポジションの状態から、さらにカラダを前にかたむけ、右のもも裏の筋肉を「10秒」伸ばす
② 10秒伸ばしたあと、カラダを小さく「20回」バウンドさせる
③ 反対も同じようにおこなう

回数

左右1セットずつ

ハムストリングスの動的ストレッチをする理由

解説をみる
「ハムストリングス」とは、太ももの裏の筋肉です。

ハムストリングス
ハムストリングスの動的ストレッチをする理由は、主に以下の2点です。


1.ハムストリングス(特におしりに近い部分)に意識を向けるため
ハムストリングスに意識が向くと、走るときの推進力がアップします。

2.ハムストリングスがしっかりと使えるようになるため
ハムストリングスが使えていないと、ふくらはぎに負担がかかります(その結果、ふくらはぎの筋肉がケガすることも…)。


ちなみに、ハムストリングスをしっかりと使えていない方のふくらはぎを見ると、太くなっているケースがよくみられます。

2.腸腰筋(ちょうようきん)の動的ストレッチ

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※音は出ません

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腸腰筋の動的ストレッチ
※1:上の図は左脚の腸腰筋にアプローチしています
※2:左右1セットずつおこないます

方法

1
スタートポジションを作る

① 両脚を前後に大きく開く(※右ひざは90°に曲げる・右ひざは足首より前に出さない)
② カラダをまっすぐ起こす

2
ストレッチを開始する

① スタートポジションの状態で、左脚の付け根(腸腰筋)を「10秒」伸ばす
② 10秒伸ばしたあと、「20 回」小さくバウンドさせる
③ 反対も同じようにおこなう

回数

左右1セットずつ

腸腰筋の動的ストレッチをする理由

解説をみる
腸腰筋が硬いと、走っているときに腰に負担がかかります。

「腸腰筋(ちょうようきん)」は、股関節の前についている筋肉。
ちなみに、腸腰筋は「大腰筋(だいようきん)」「腸骨筋(ちょうこつきん)」を合わせた総称です。

腸腰筋とは?
このように、腸腰筋は股関節の前についています。
そのため、腸腰筋が硬くなると股関節を後ろに伸ばしにくくなるんです。

伸ばしにくい股関節をがんばって後ろに伸ばそうとすると、代わりに腰が反ってしまいます。

そのようなフォームでランニングを続けると、腰に負担が蓄積され、いつか腰痛を引き起こしてしまう可能性も。

なので、腸腰筋の柔軟性は、腰痛予防にとても重要なんです。

3.大殿筋(だいでんきん)の動的ストレッチ

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大殿筋の動的ストレッチ
※1:上の図は右脚の大殿筋にアプローチしています
※2:左右1セットずつおこないます

方法

1
スタートポジションを作る

① 両脚を前後に大きく開く(※右ひざは90°に曲げる・右ひざは足首より前に出さない)
② カラダを前に倒す
(※背中と腰は一直線にする・両手は右ひざの内側に置く)

2
ストレッチを開始する

① スタートポジションの状態で、右のおしりの筋肉(大殿筋)を「10秒」伸ばす
② 10秒伸ばしたあと、「20 回」小さくバウンドさせる
③ 反対も同じようにおこなう

回数

左右1セットずつ

大殿筋のストレッチは座っておこなう方法が多いですが、今回ご紹介したやり方では、よりランニング動作に近いかたちでストレッチをすることができます。

大殿筋の動的ストレッチをする理由

解説をみる
「大殿筋(だいでんきん)」は、股関節の後ろについている筋肉です。

大殿筋
大殿筋の主なはたらきは、股関節を後ろに伸ばすこと。

大殿筋の動的ストレッチをすると、大殿筋がはたらきやすくなります。
そうすると、股関節を後ろに伸ばしやすくなり、走るときの推進力を生み出すことができるんです。

4.広背筋(こうはいきん)の動的ストレッチ

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広背筋の動的ストレッチ
※1:上の図は右側の広背筋にアプローチしています
※2:左右1セットずつおこないます

方法

1
スタートポジションを作る

立った状態で両手をバンザイし、伸ばす側(右)の手首を持つ

2
ストレッチを開始する

① カラダを横に倒し、カラダの右側面(広背筋)を「10秒」伸ばす(※若干ななめ前方に倒し、かつひざを少し曲げるとよく伸びます)
② 10秒伸ばしたあと、「20 回」小さくバウンドさせる
③ 反対も同じようにおこなう

①の広背筋を伸ばす際に、深呼吸をするといいですよ。胸郭が大きく広がるため、酸素を取り込みやすくなります。

回数

左右1セットずつ

広背筋の動的ストレッチをする理由

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「広背筋(こうはいきん)」とは、腰あたりから上腕骨までついている、広くて大きな筋肉です。

広背筋
広背筋は肋骨にもついているため、呼吸にも関わってきます。

そのため、広背筋に対して動的ストレッチすることで呼吸がしやすくなり、酸素を取り込みやすくなるんです。

5.胸郭(きょうかく)の動的ストレッチ

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※音は出ません

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胸郭の動的ストレッチ
※1:左右連続でカラダを回します
※2:2セットおこないます

方法

1
スタートポジションを作る

立った状態で、両手は胸の高さまで上げる

2
ストレッチを開始する

① カラダを右に回す(※腰は動かさない)
② ①と同じようにカラダを左に回す

回数

10往復×2セット

胸郭の動的ストレッチをする理由

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「胸郭(きょうかく)」とは、首とお腹のあいだの部分を指します。
ちなみに、胸郭は以下の骨で構成されています。


胸骨(きょうこつ)主に「胸骨柄(きょうこつへい)」「胸骨体(きょうこつたい)」「剣状突起(けんじょうとっき)」の3つで構成されている
肋骨(ろっこつ):左右12本ずつ
胸椎(きょうつい):12コ


胸郭
胸郭の特徴は、息を吸うときに左右前後に広がること。
そのおかげで、多くの酸素をカラダに取り込めるんですね。

ゆえに、胸郭が硬くなると、酸素を十分に取り込めなくなります。
その結果、ランニングをしていてもすぐに疲れてしまうこともあるんです。

なので、ランニング前に胸郭の動的ストレッチをおこない、胸郭の柔軟性を高めておくといいですよ。

さらにいうと、ランニング中は、腕を振るたびに胸郭が回旋します。
その動きをスムーズにするためにも、胸郭のやわらかさは大切なんですね。

6.ふくらはぎの動的ストレッチ

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ふくらはぎの動的ストレッチ
※1:上の図は右脚のふくらはぎにアプローチしています
※2:左右1セットずつおこないます

方法

1
スタートポジションを作る

立った状態で、脚を前後に開く(※かかとは床につける)

2
ストレッチを開始する

① 前足に体重を乗せ、ふくらはぎを「10秒」伸ばす
② 10秒伸ばしたあと、「20 回」かかとを小さくバウンドさせる
③ 反対も同じようにおこなう

①の前足に体重を乗せるときは、カラダを前に倒すというよりも、骨盤を前方に水平移動させるイメージです。

回数

左右1セットずつ

ふくらはぎの動的ストレッチをする理由

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ランニング中は、ふくらはぎの筋肉は収縮と弛緩(しかん ※ゆるむこと)をたくさん繰り返します。

先ほど紹介した動的ストレッチは、ふくらはぎの筋肉の収縮と弛緩をうながすため、おこなったあとは走りやすくなると思います。

さらには、ふくらはぎの柔軟性も高まるため、肉離れなどの予防にもなります。

ただし、勢いよく反動を使ってストレッチすると、筋肉を痛める可能性もあります。
なので、まずはゆっくりとおこなってくださいね。

最後に:安全に動的ストレッチをして、いつもより快適なランニングを楽しもう!

今回は、ランニング前にオススメの動的ストレッチを6つ紹介しました。

お伝えしたストレッチをおこなうことで、脚の筋肉がはたらきやすくなったり、呼吸がしやすくなったりする効果が期待できます。

なので、ぜひランニング前に実践してみてくださいね。

しかし、動的ストレッチはカラダを動かしながらおこなうため、無理に伸ばすと筋肉や関節を痛めることがあります。

そのため、まずはゆっくりとおこなってください。

もしケガが心配な方は、静的ストレッチ(※止まっておこなうストレッチ)からはじめてみることをオススメします。
そして、筋肉が伸びてきたら、ちょっとずつ動的ストレッチを試してみてくださいね。

安全に動的ストレッチをすることでカラダの機能を高め、いつもより快適なランニングを楽しんでください!

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。